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小林よしのり
2018.5.29 00:04日々の出来事

ディストピアへ


「小説幻冬」の『おぼっちゃまくん』がやたら好評だが、

あれこそ文芸誌だから描けた作品。

一般漫画誌では描けない。

 

すぐ抗議してくる奴らがいるし、すぐ抗議に屈するし、

あらかじめ抗議が来ることを恐れて、自主規制し始める。

 

誰かが傷つくという条件は絶対的な威力を発揮する。

この世の中に誰も傷つく者がいてはいけないという異常な

イデオロギーが蔓延してしまっている。

 

「傷つくぞ!傷つくぞ!傷つけてはいけない!」

「足を踏まれた者の痛みが分からないだろう!」

 

この10年、20年で、表現規制はとことん強化された。

一般誌に描くことはストレスを溜め込むことになる。

『おぼっちゃまくん』は「小説幻冬」だからこそ、

わしの能力を十全に発揮して描けているのだ。

 

「セクハラ」やら「共謀罪」やら、今後も表現の枠を

縮小させていく流れは続くのだろう。

ディストピアへ、ディストピアへ、誰も傷つかない

ディストピアへ。

 

小林よしのり

昭和28年福岡生まれ。漫画家。大学在学中にギャグ漫画『東大一直線』でデビュー。以降、『東大快進撃』『おぼっちゃまくん』などの代表作を発表。平成4年、世界初の思想漫画『ゴーマニズム宣言』を連載開始。『ゴーマニズム宣言』のスペシャル版として『差別論』『戦争論』『台湾論』『沖縄論』『天皇論』などを発表し論争を巻き起こす。
近刊に、『卑怯者の島』『民主主義という病い』『明治日本を作った男たち』『新・堕落論』など。
新しい試みとしてニコニコ動画にて、ブロマガ『小林よしのりライジング』を週1回配信している。
また平成29年から「FLASH」(光文社)にて新連載『よしりん辻説法』、平成30年からは再び「SPA!」(扶桑社)にて『ゴーマニズム宣言』、「小説幻冬」(幻冬舎)にて『おぼっちゃまくん』を連載開始し話題となっている。

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